先覚・・・・①人より先に物事の道理や移り変わる先を見抜いた人。
②学問・見識のある先輩。
先駆・・・・①行列の先導。
②人に一歩先んじてすること。さきがけ。
人びとのことを広く深く思いやる、すぐれた人格者の行いは、
長い年月をかけて見定めて、はじめてそれと知られるもの。
名誉も報酬ももとめない、まことにおくゆかしいその行いは、
いつか必ず、見るもたしかなあかしを、地上にしるし、
のちの世の人びとにあまねく恵をほどこすもの。
(木を植えた男/ジャン・ジオノ 原作 寺岡嚢 訳)
大淵水源開発顕彰碑
私達大淵地区住民は昔から雨水を生活用水に使用してきました
随って水源を探して生活を改善したいと云う事が住民の悲願でした
この住民の苦境を黙視出来ず水資源の開発に挑んだ先覚者が杉山元次郎氏と小笠原実男氏の二人でした
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昭和二十四年一月小笠原氏は金六十万円の巨費を投じて削井の卓越した技術と経験のある杉山氏を信じて水源の掘削を依頼しました
この発掘工事は七十米に及ぶ不透岩盤の層に突き当たり岩盤との苦しい闘いでした
其れにも負けず同年十二月十七日深度百米の地層に達し水源を発見する事に成功しました
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此の地の水源開発は現在富士地区水資源開発の基礎となりました
此れは正に杉山氏の優れた技術と信念及び小笠原氏の不屈洞察力と開拓魂との結晶でした
茲に両氏が地域に尽くした功績を讃へ永遠に後世に伝える為にこの碑を建立します
富士市水道部長 鈴木一彦 撰
祖父没後50年。
初めてこの碑の前に立つ。
風の音が遠くなる。
遅すぎた邂逅。
畏敬の思い。
曲がらない膝をそのままに垂らし
自転車を二拍子で漕ぐ音が遠くから近づいてくる。
錆色の影と微笑む気配。
鳥達も虫達も風も水も動かない。
そこにある百合のように。
顕彰碑の傍らに掘削の痕跡がある。
大きな配管がナットで幾つも接合され、地面から這い上がって
バルブが力強い握り手の形をして、天に向かって赤く赤く咲いていた。