アンリ・ミショー | NO PAIN NO GAIN!だけど楽しく♪

NO PAIN NO GAIN!だけど楽しく♪

あなたらしさを取り戻すために、人生に出来事を求めなさい。
    
             -マクスウェル


NO PAIN NO GAIN!だけど楽しく♪-無題


内部のヴィジョンの登場。

 突然、だが、先駆者としての一つのことば、伝令としての一つのことば、


人間に先んじて地震を感じる猿のように、


行為に先んじて警報を受けとる私の言語中枢から、発せられた一つのことば、

《眩しく目をくらませる》ということばにすぐ続いて、

弾道のような何本もの長いナイフ

眩しく輝く何本ものナイフが、空虚の中を、すばやく耕す。

突然、一本のナイフが、突然千のナイフが、稲妻を嵌(は)めこみ光線を閃かせた千の大鎌、

いくつかの森を一気に全部刈り取れるほどに巨大な大鎌が、

恐ろしい勢いで、驚くべきスピードで、空間を上から下まで切断しに飛び込んでくる。

激しく引き裂かれる殉教者。

わたしは内心ひそかに苦悩しながら、

滅茶苦茶に引き裂かれる苦悩。それはあたかも、自分の中で、いくつもの細胞が、その弾性の限界に達するまで、その恐ろしい加速度に自分を合わせてついていくことを、強いられているような苦しみだ。(細胞自身の痙攣そのものが加速度の原因でないとしたら)

それらのナイフや大鎌と同じ速度の耐え難いスピードに自分を合わせ、

ますます激しくバラバラに裂け、解体し、狂気へと陥ってゆきながら、

ある時はそれらのナイフや大鎌と同じく途方もない高さにまで、

それから忽ち、すぐ次の瞬間には、

それらと同じく深海の深さまで、ついてゆくことを強いられる・・・・・・それにしても、一体これはいつ終わりになるのだろうか・・・・・・それがいつかは終わりになるとして?


 終わった。遂に終わった。


(アンリ・ミショー全集Ⅳ みじめな奇蹟Ⅱメスカリンとともに /小海永二訳より)